第5回 ニーズ調査・分析を行う(その2)
[ 2008.03.03 update ]
前回は、「ニーズ調査・分析」の「目標分析」から「実施分析」についてご紹介しました。
引き続き「ニーズ調査・分析」について見ていきます。
(1)コスト分析
教材を作成するにあたって、どのくらいの費用と時間をかけてよいのか、という確認です。
制作会社に依頼する場合はもちろん、社内で作成する場合にも予算がありますので、どのくらい費用がかかるのか見積りが必要です。
開発にかかる費用だけでなく、運用サポートに必要な予算も忘れずに確保しましょう。
また、費用対効果も確認しておきます。特に、既存の集合研修をeラーニングに置き換える場合には、費用対効果で比較するとわかりやすいものです。
コスト分析で確認したいこと
- 開発、運用サポート予算
- 費用対効果
(2)教材タイプ分析
次に、教材タイプについて確認します。
eラーニング教材は、アニメーションとナレーションの組み合わせで構成された「解説タイプ」が一般的です。
ほかにも、画面操作をシミュレーションで学習する「操作シミュレーションタイプ」、セミナー映像とパワーポイント資料を組み合わせた「セミナータイプ」があります。
◆解説タイプ
◆操作シミュレーションタイプ
◆セミナータイプ
それぞれ特徴がありますので、教材のテーマによって最も適したタイプを選択しましょう。
タイプ | 特 長 | |
---|---|---|
解説タイプ |
ストーリー仕立ての教材にすることで幅広い知識を習得することができる。
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操作シミュレーションタイプ |
シミュレーションによって操作方法を習得することができる。
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セミナータイプ | 集合研修をオンラインで配信したい場合や、特にメッセージとして強調したい場合に適している。
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今回の例では、「ビジネスマナーの基礎知識」を教える教材です。
職場での行動、お客様と挨拶したり名刺交換したりする場面などをアニメーションで見せることや、基礎的な内容を幅広く網羅することを想定すると、アニメーションとナレーションを組み合わせた「解説タイプ」が適しています。
教材タイプ分析で確認したいこと
- 最適な教材タイプは何か
(3)既存資料分析
教材を作成するにあたって、既存の資料の有無や種類について確認しましょう。
今まで集合研修を実施していた場合には、テキストや説明資料があるものです。説明資料になっていない場合でも、参考になる資料や書籍があるかもしれませんので、確認してみましょう。
また、教材のテーマに関連する部署があれば、参考書籍や専門知識についての情報を得ることができます。
既存資料分析で確認しておきたいこと
- 既存資料の有無と種類
- 参考資料や参考文献の有無と種類
(4)体制について
どのようなプロジェクトにも共通のことですが、体制について確認しておきます。
プロジェクトリーダーはもちろん、承認者は誰か、原稿を執筆するのは誰か、デザインや制作を担当するのは誰かなど、細かく確認しましょう。
また、教材作成では「SME」の存在が重要です。「SME」とは「Subject Matter Expert」の略で、教材の扱うテーマについて専門知識を持っている人のことです。今回の例では、「ビジネスマナーの基礎知識」がテーマですので、人事部で新人研修を担当している人や、外部のビジネスマナー専門家などが考えられます。
社内に関連部署がある場合は、必ず参加してもらえるような体制にしましょう。
制作だけでなく、公開してからの運用体制についても同時に確認しておくとよいですね。
ここで確認しておきたいこと
- 承認者、責任者は誰か
- SMEは誰か
次回は、いよいよ「設計」工程についてご紹介します。