第6回 設計する・実施計画をたてる
[ 2010.09.16 update ]
前回まで、「ニーズ調査・分析」について見てきました。
「ニーズ調査・分析」という工程が完了した時点で、作成する教材についての情報はある程度まとまったことになります。いよいよ、次の工程「設計」と「実施計画」に進みましょう。
「設計」は、今までに集めた情報を、教材に組み立てる作業です。教材の全体構造やさまざまな仕様を決めていくことになります。
(1)全体構成を決める
まずは、教材全体の構成をどのようなものにするかを決めましょう。
教材の構成は好きに設定することができますが、一般的には、「オープニング(はじめに)」で始まり、複数の章と節を経て、「エンディング(終わりに)」で締めくくられる形式がわかりやすいといえるでしょう。
また、テストをするのか・しないのか?もここで決めておきます。
テストは、学習した内容を定着させるとともに、学習効果を測定する効果が期待できます。テストには「章末テスト」や「修了テスト」などの種類がありますが、各章の復習のためなら「章末テスト」が適していますし、テストの点数を修了条件にするのであれば「修了テスト」がよいでしょう。もちろん、両方ともあってもかまいません。ただし、あまりテストばかりだと学習者にとって負担となってしまいますので、問題数や見せ方に工夫が必要です。また、「事前テスト」と「事後テスト」の2つを設けると点数の差で学習効果を測定することができます。
(2)目次を作る
構成が決まったら、目次を決めていきます。目次を決めるときには、学習目的が重要なポイントになります。「この章では何を伝えたいか」さらに「この節では何を覚えてほしいか」を明確にして組み立てていきます。また、目次は、学習するときに最初に目にすることが多いものです。章や節のタイトルは、どんな内容かイメージできる、わかりやすいものにしましょう。
ここで決めておきたいこと
- 目次構成 章・節・項のタイトルとそれぞれの概要
(3)画面デザインを決める
次に、画面のデザインを決めましょう。学習者にとって見やすく、飽きのこない画面デザインにする必要がありますので、対象となる学習者の年齢層やPCの操作経験などの属性がポイントとなります。また、テーマとなる学習内容とも関連があります。学習を妨げることなく、集中して進めることができるように工夫します。
ここで決めておきたいこと
- 画面イメージ(色やデザイン、テキストエリアのサイズやボタンの配置)
- 登場するキャラクター
- 学習の進め方(会話形式なのか、司会者が進める形式なのか など
(4)内容を決める
目次が決まり、画面デザインが決まったら、コンテンツの内容、原稿や絵コンテを作成しましょう。
まずは、これまでに使用されていた集合研修の資料や、ヒアリングした内容をもとに、原稿を作成し、絵コンテ(設計図のようなもの)にしていきます。
内容に誤りがないようにすることはもちろん、誤解を招くような表現は避けるようにします。最後に、誤字や脱字がないか必ず確認しましょう。
ここまでで、ひととおり「設計」が完了となります。
(5)実施計画をたてる
「設計」と並行して行いたいのが「実施計画」です。
でき上がった教材をどのように実施するのか、進捗管理をどのように行って、どのように学習者をサポートするのかを検討すると、そのために必要となる機能が出てくることがあります。設計が完了し、開発を始めてから機能を追加していては、手戻りになってしまいます。早めに実施計画をたてて、必要な機能を洗い出し、設計にフィードバックしましょう。具体的には、以下のようなことがあります。
- 学習スケジュールをたてる
- 学習支援の方法を決める
- 進捗管理のスケジュールをたてる
- 評価の基準を決める
次回は、「開発」工程についてご紹介します。