第8回 実施・評価する
[ 2010.09.16 update ]
「開発」が完了すると、いよいよ「実施」となります。「実施計画」に基づいて行いましょう。
(1)実施する
教材を公開したら、実施計画書に基づいて進捗状況を確認します。
進捗状況は、イントラネットへの掲載、電子メールでのアナウンス、朝礼での発表などによって、学習者のみなさんにフィードバックしましょう。すでに学習した人も、まだの人も、フィードバックがあった方が、やりがいがありますし、さらなる修了率アップが期待できます。
進捗状況は、修了率・受講率、テストの点数などを部署単位などわかりやすい単位でグラフ化し、比較してみましょう。
また、学習効果のある教材だったのかどうか、学習者の反応も確認しましょう。
学習者の反応を知るためには、いくつかの指標があり、次の4項目が測定できるものが望ましいとされています。
- 満足度 … 学習後の感想や満足の度合い
- 理解度 … 学習目標に対する理解の度合い
- 行動の変化 … 学習の結果、得られた行動の変化
- 得られた成果 … 学習によって身につけた知識を用いて、得られた成果
学習後の感想や満足度、行動の変化については、学習者へのアンケートで測定することができます。
ここで実施すること
- 進捗状況の集計や公開
- 学習者への学習後アンケート
(2)評価する
最後に、学習者は理解できたのか?この教材に満足しているのか?学習の効果は果たしてどのくらいあったのか?など、教材を評価する必要があります。
実施する前に、評価する基準を決めておきました。それに基づいてデータを測定し分析を行います。
教材の内容や実施方法の、どこに問題があったのか。教材の構成なのか、操作性なのか、それとも実施方法なのか、といったことを、アンケート結果や進捗状況で読み取ることができます。次の教材を作成する際に活用しましょう。
ここで実施すること
- アンケートの分析と評価
どんなシステム開発でも、ユーザビリティを考えて工夫を凝らすものですが、eラーニング教材の作成は学習効果や教材ならではの工夫(飽きずに最後までやりとげてもらえるように、といったことや、必ず覚えてほしい事項をどのように見せるか、学習者がまず「学習しよう」と思ってくれるためにはどうしたらいいか…、といったこと)がプロジェクトのすべて、と言ってもいいくらいです。Webサイト制作や、システム開発とは違うおもしろさは、難しさでもあります。
受講率や修了率、アンケートでの意見はすべて学習者の声です。真摯に受け止め、ぜひ次に活かしましょう。
■ 終わりに ■
今回で、インストラクショナルデザインについてのお話は終了です。
教材を作成することは、「教えたい」「学んでほしい」という気持ちや内容がある限り、難しいことではありません。その部分はIT技術を使って自動化しなくても、人のちからで考えることが楽しいものかもしれません。
一方で、Webサイト制作やシステム開発とは違い、教材としての操作性を考えることや、教育効果を考慮に入れて作成する手順などは、慣れるまではなかなかわかりづらいものがあります。
わかりづらい部分こそ、手順を決めてしまえば、より手軽にできるようになります。ここでご紹介した内容が、そのための1つの手法となれば幸いです。
これからも教材を作成することの楽しさを失わずに、より効果的な教材を効率的に作成できる方法を探していきたいと思っています。