目的を決める
テストを作成する時には、「何を覚えてほしいか」「どのような知識を習得しているかを知りたいか」を始めに決めておく必要があります。
何のためにこのテストをするのか、ということです。テストをするからには、何か理由や目的があるはずです。
「評価がしたい」のか、「知識を習得してほしい」のか、「学習意欲を高めてほしい」のか…。テストの内容やレベルと密接に関わってきますので明確にしておきましょう。
また、テストの問題は、学習目標に対して客観的妥当性、信頼性とを兼ね備えたものであることが大前提となります。
つまり、学習目標が明確でないと、どのようなテスト問題を作成すればよいかも決められないことになります。
例えば、「ひつじTOWN」でご紹介している「ニッポン検定」の場合。
「ニッポン検定」は、都道府県についての知識を評価・測定するためのテストではありません。堅苦しくなく、気軽に、楽しみながら日本各地についての情報を得ることができるものにしたいと考えました。
そこで、学習目標を次の3つに設定しました。
ニッポン検定の場合
- 知らなくても困らないけれど、聞くと「へぇー」と思える雑学・豆知識を得る。(知る喜び)
- 対象の都道府県について、3分程度、人に話しをすることができる。(伝える喜び)
- 対象の都道府県について興味を持ち、調べたり旅行に出かけたりしたいと感じる。(知識の広がり)
このように目的を決めましたので、関連して、対象者やテストのレベルが決まってきます。
対象者を決める
次に、誰に対して実施するテストなのかを決めます。対象者によって前提となる知識が変わり、テストのレベル(合格率)に影響します。
一般的には「テストをしよう」という時点で、ある程度対象者は決まっていますので、その属性を整理することになります。
例えば「ニッポン検定」の場合は、「楽しみながら情報を得ることができる」という目的に加えて、わが社のWebサイト上で公開するという性質もあり幅広く対象者を想定しました。
ニッポン検定の場合
- 20代以上の人
- ある程度、一般常識がある人
- 対象の都道府県在住ではない人 (在住の人も実施可能)
テストのレベルを決める
目的と対象者を決めたところで、テストのレベルについて考えてみましょう。テストのレベルは、合格点と合格率を想定することで決まります。
対象者が全く答えられないほどレベルが高いと、回答する意欲を失います。
自分の想定する対象者が、どの程度の割合で、どの程度の点数をとることができるかを決めておきます。
テストスタイルeラーニングは、設問を通して考え、解説を読んで知識を習得することや、学習する意欲をより高めてもらうことが目的ですから、ある程度正解できるレベルがよいと考えます。
「ニッポン検定」の場合は、興味を持ってもらい、知識を得てもらうことが大きな目的ですから、ある程度の確率で正解できるレベルがよいと考えました。
ニッポン検定の場合
- 各都道府県とも、80%正解したら合格とする。(100点満点で80点以上が合格)
- 想定する対象者の8割が、初回実施時に50~60%正解・2回目以降に80%以上正解(合格)できるレベルとする。
- 対象の都道府県在住の人は、初回実施でも合格するレベル。
ここまでで、「目的」「対象者」「レベル」が決まりました。ここで整理しておくことが次のステップにつながります。
単純なことかもしれませんが、「レベル」の設定などは、案外悩んでしまうのではないでしょうか?ここで設定した「レベル」は、設問1問ずつのレベルや配点に密接に関わってきます。
合格点などの「レベル」を想定せずに実施すると、結果を集計してもテストとしての評価を行うことができません。
例えば平均点が90点で、「みんなよく出来たなぁ」と思っても、「本当によく出来たのか?問題が簡単だったのではないか?」という疑問が残ります。
「みんながよく出来た」のではなく、実は「対象者に対して簡単すぎるテストだった」かもしれないのです。
何でも、「予定」があるので「実績」と比較を行い、分析や改善ができるものですので、テストの目標やレベルについても、まとめておくとよいですね。
次回は、「テストの実施方法」について考えてみたいと思います。