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SIGGRAPH2007参加報告

SIGGRAPH は、世界最大のコンピュータ・グラフィックスの学会・展示会で、毎年夏にアメリカで行われています。34回目となる今年は2007/8/5~8/9の期間、サンディエゴで開催されました。

1999年頃から興味があったのですが、今年参加させていただく機会を得て、初めて参加してきました。ツアーなどには参加しなかったため、4月末頃からフライトやホテル、オンライン登録などの準備をしての単身参加です。SIGGRAPH初日から参加できる飛行機は、4月末の時点で既にキャンセル待ちになっていたため、1日遅れでの参加となりました。

参加1日目

>>> 関空~サンディエゴ空港 >>>>

サンディエゴへ出発。サマータイムなので日本との時差は16時間です。

関空からサンディエゴへの直行便がないため、サンフランシスコで乗り継ぎの便で行きました。

荷物がでてこなかったり飛行機がおくれたらどうなるんだろう…という不安を抱きつつ、9時間の長いフライトを終えてサンフランシスコに到着。

サンフランシスコでは入国審査で大行列。なかなか列が進まないので、次の便は大丈夫なのだろうかと、次の便の時間を確認すると、すでにボーディングの時間まであと20分!あわてて、周りにいた係りの人に申し出ると、行列を飛ばして先に通してもらうことができました。

それでも、入国審査を終えて荷物を受け取った時点ですでにボーディングの時間を5分ほど過ぎていたので、間に合わないのではないかとひやひやしながら全力疾走で行きましたが、幸いなことに悪天候で次のフライトが1時間遅れてくれていました。セーフ。

無事に乗り込み、1時間半ほどでサンディエゴに到着しました。

>>> ホテルへ >>>>

事前にインターネットで調べている限りでは、空港からホテルへは乗り合いのシャトルバスが良さそうでしたので、シャトルの乗り場を尋ねにInformationへ。するとInformation Centerの方がとても親切に、シャトルはないので、と市バスでの行き方を教えてくださいました。さらに、バス停まで連れて行ってくれて、バスの運転手の方にホテルの近くで私に声を掛けるようお願いまでしてくださいました。バスに乗り込み、バス代を支払おうとするとなぜかいらないと言われ…、結局一銭(1セント?)も払わずホテルまで到着。

ホテル予定より遅れて到着したおかげで、すぐにホテルにチェックインすることができました。ホテルはビクトリアン調の建物で、家具もアンティークでとても素敵でした。冷蔵庫がなかったのがつらいところでしたが…。

部屋に荷物を置いて会場であるSan Diego Convention Centerへ。ホテルからConvention Centerへは徒歩7~8分程で到着。荷物が重くなると一度置きに帰ったり、昼食も一度戻って部屋で食べたりできるので、徒歩で行けるというのはとても便利です。私の泊まったホテルの近くは、ガスランプ・クウォーターとよばれる区域で、ヴィクトリアン朝の建物が立ち並びとても風情ある雰囲気の街並みでした。

>>> レジストレーション >>>>

San Diego Convention Centerレジストレーションは、オンライン登録をしたらメールで送られてきたPDFを印刷したものを持っていき、バーコードを読み取ってコンピュータで行い、資料やDVD・パスなどをわたされて意外と簡単に完了しました。心配していたレジストレーションも終え、これで無事SIGGRAPHに参加することができたと一安心。

とりあえずは様子を見るため、会場内の構造やどこでなにが行われているかを見て回りました。

レジストレーションの隣のスペースがExhibitionとなっていて、大展示会という感じです。

隣ではJob Fairが行われていました。(ここは足を踏み入れていませんが…)

2階へ行くと、Animation Theater。2つの部屋で7つのジャンルに分けられた作品が常時上映されています。他にも、CoursesやPapersなどを受ける部屋や、EmargingTechnologyのコーナーなどがありました。

大体6時ごろにはどのブースも終了となり、参加初日は終了。

>>> 食事 >>>>

ひとりで来ているため、コンビニかファーストフードなど買って帰れるものを求めてお店探しに。そしてホテルから徒歩5分ほどのところに大きなスーパーを発見!お惣菜のようなものからサラダバー、スープバー、サンドイッチのコーナーまであります。

しかしどれを見ても、ひとつひとつがいちいち大きい。さすがアメリカ。とりあえずこの日はパニーニをひとつ買って帰りました。

40時間という、文字通り『長い一日』でした。

参加2日目

SIGGRAPH3日目(私が参加して2日目)は、人数がさらに増えているようで活気付いていました。まず、着いてすぐにElectric Theater ProgramとAnimation Theater ProgramのDVDを購入。3日目ぐらいになくなることもあるという過去の情報があったので、絶対ほしいものはともかく買っておかなくては、と今年度版を3本とも購入しました。

>>> Exhibition >>>>

Exhibition展示会のような感じで、230社ほどの企業や学校などが出展していました。にぎやかです。

大きいところではPixar Animation StudiosやSony Pictures Imagesworks、Autodesk、Disneyなどなど、多数の企業・学校等が出展しています。ノベルティもキャップやノートやポスターなどいろいろあり、レジストレーションの際に渡される、個人情報の入ったカードを渡すとピッと読み込んで、もらうことができます。

ブースでは、座席を設けて製品説明会をしているところもありますし、セミナーのようなことをしているところもあります。Sony Pictures Imageworksでは、モデルがいてデッサン教室をやっていました。私はThe Art Institutesの翌々日のMayaのクラスに申し込みをしました。翌日のクラスはもういっぱいとのこと。大盛況です。授業についていけるとはあまり思えませんが、Mayaはさわったことがないので、さわってみれるというだけで楽しみです。終了後にもらえるというTシャツもかわいいのでそれ狙いでもあります。

モーションキャプチャーブースはPixarのRendermanのところや、Disney(ミニ映画を上映していました)やAutoDeskのMayaのデモあたりが大盛況でした。

そしていろんなところで、モーションキャプチャーの実演をしています。体にセンサーをつけた女性が動くと、画面上の3Dのキャラクタが同じ動きをする、といったものです。

>>> Electric Theater >>>>

Electronic Theater最高峰の映像が見れるということで心待ちにしていたElectric Theaterへ。公募に入選した作品の中から優秀なものを集めての上映会です。SIGGRAPHのオンライン申し込み時にこの日の夜7時からの分を予約していたもので、会場はメイン会場とは別の場所で開催されました。

住所からなんとなくわかるだろうと、徒歩で会場へ。そんなに迷うこともなく20分ほどで到着しました。(海外の住所はわかりやすくて良いです)

普段ミュージカルなどもされている、3000人ほど入る大きな会場がほぼ満席でした。

まずはじめにコンピュータゲーム初期のゲーム(スターウォーズのゲーム等)を再現し、舞台上でプレー。プレーヤーのプレーに一喜一憂し、会場は大いに盛り上がりました。その後、高揚した雰囲気のまま、計34本ほどのムービーを上映。上映中、会場は笑いにつっこみにため息にと大いに盛り上がり、一体となって楽しみました。

世界中から集まった作品なのだと思うと、やはり興奮します。日本からの作品もありました。大手企業の作品もあれば、学生の作品もあります。服がゆれる表現や布の質感、海面の細かい波や、人の肌の質感など、ものすごくリアルで驚きました。

9時過ぎに終了し、興奮冷めやらぬままホテルへ。ひとりで来ると、感動を語り合えないところが寂しいところです。

参加3日目

>>> Educators Program >>>>

SIGGRAPH4日目からEducators Programが始まりました。ということで、この日は5本のEducators Programに参加しました。

Educators Programは割と狭い部屋でプレゼン形式で行われます。席の配置もプレゼンテーターを囲む形で配置されていて、質疑応答もあってすこし学会っぽい雰囲気。短いものは15分から1時間あるものなど、プログラムによって時間もさまざまです。

eラーニングに関する題材のものがあったので一番楽しみにしていたのに、なぜか発表者が現れず流れてしまいました。残念。

eラーニングやゲームでのラーニングに関する題材のものを選んで参加していましたが、画面からなんとなくはわかるものの、やはり英語が聞き取れないので詳細がわからないところが大変悔しいところです。質疑応答になると、興奮するのかどちらも話すのがさらに早くなるのでより一層難しい。でもありがたいことに、Full ConferenceのDVDの中に、それぞれ資料が入っているのであとで復習することができます。

>>> Courses >>>>

Course大講義室のような部屋で行われるセミナーのようなものです。Full Conferenceでないと出席できません。どんな内容のものがあるかは、レジストレーションの際に渡されるプログラムガイドの中にも載っていて、丸一日のものもあれば、午前中だけのものなどがあります。事前に見たいものをチェックしておいて参加しました。この日は朝一番のコースに参加。スパイダーマン3のメイキングを元に、スパイダーマン3に登場する砂の人(Ssandman)のテクニックなどなど。ものすごい参加者で、500人は入るかと思われる大講義室が満席で、空いては次の人が座り、という賑わいっぷりでした。

そして午後一番でキャラクターアニメーションのコースに参加。写真はPixarの“レミーのおいしいレストラン"のねずみ、レミーについてのところです。体の質感(やわらかさ)がとってもリアルで、おなかにボールをあてて動きのシミュレーションしているところなども映像で見せてくれました。

>>> ともかく冷えています! >>>>

会場内はともかくすさまじく冷房が効いています。アニメーションシアターは特に冷え込んでいたような気がします。厚手のパーカーを着込んで行ったのですが、それでも足先の感覚がなくなるほどでした。夏だというのに期間中はずっとスタバのあたたかい飲み物を飲んでいたくらいです。

>>> Guerilla Studio >>>>

Guerilla Studio合間にGuerilla Studioも覗いてきました。ここではいろんな最新の機器を実演していたりさわらせてもらえたりするもので、クレイアニメーションを制作しているところや、3Dのオブジェクトをスキャニングしていたり、普段なかなか見れないものを見ることができました。

>>> ショッピング >>>>

この日はお土産などを買おうと、コンベンションセンターから歩いて15分ほどで行ける、HortonPlazaというショッピングモールへ。4階建ての割と大きなモールになっていて、いろんなお店が入っています。夜の9時までやっているので、カンファレンスが終わってからでも充分間に合うところがうれしいです。

参加4日目(最終日)

>>> Sketches >>>>

朝一番でSketchへ。Pixar社の現在上映中の映画、“レミーのおいしいレストラン”のメイキングにおけるテクニック紹介の教室です。少し遅れて行ったのですが、500人は入ると思われる大講義室が満室で、別の部屋に通されました。プレゼンが映し出されていて、そこも300人ぐらいは入っていました。本当に大盛況。これは1時間45分ほどのコースです。

続いて、その後編が同じく1時間45分あったので、今度は並んで入室。

途中、Mayaのクラスに参加するため抜けましたが、終了後にまたPixarのコースに戻りました。本の中で動くシェフのアニメーション作成方法などが見れました。

日本人の方の発表もあり、日本のアニメのことなども話されているものもありました。

最後に参加したSketchは、“パイレーツオブカリビアン”や“Surf's Up”、“300's Liquid Battlefield”という映画のメイキングを通して、波や海の表現についての発表でした。

>>> Maya体験教室 >>>>

The Art Institutes途中から2日目に申し込んでおいたThe Art InstitutesのMayaのクラスに参加。50分ほどのクラスです。

ブースの中にクラスが再現されているような形で行われていて、申し込みをしていた人は全員参加したようで満席で開始しました。クラスの内容は、用意してくれているモデリングされたキャラクタを歩かせるアニメーションをつける、というものでした。足を前に出し、膝を曲げる。次に腕を振らせて、体を上下させて胴体も揺らせる、といった感じです。

MayaMayaをさわるのがはじめてな上に英語でのクラスだったので、どうなることやらと参加直前まで怯んでいましたが、なんとかサポートの人に助けてもらいながら(ときには2人がかりで…)なんとかついていくことができました。そして席番号?での抽選にあたったようで、前に呼ばれ、サーモマグまでいただいてしまいました。狙っていたTシャツもゲット!

帰国

朝の8時にホテルをチェックアウトして、サンディエゴ(リンドバーグ)空港へ。

1927年に初めて大西洋の単独横断飛行に成功したチャールス・リンドバーグを記念して、サンディエゴ空港はリンドバーグ空港とも呼ばれているそうです。

行きの乗り継ぎではひやひやしたので、次のフライトの時間を事前にチェック。でも今度はさらに短くて50分ほどしかありません。またばたばたするのかと思いながら、1時間半ほどしてサンフランシスコに到着。

行きが荷物を受け取って再度預けなければならなかったため、受け取らなくてはならないと思い、荷物が出てくるところで待機していましたが、自分の乗ってきた飛行機の荷物が次々と出てきているのになぜかいつまでたっても出てきません。

その時点ですでにボーディングの時間を既に10分ほど過ぎていて、さらに荷物まで紛失してしまったのかと慌て、係りの人に確認すると、荷物は経由地で受け取る必要がなくて、関空で受け取れるとのこと。

次の便への乗り継ぎ場所を教えてもらい、空港内を駆け抜けチェックインカウンターへ移動すると「大阪行きの人いませんか!?」と探されていました…。

またもや、並んでいる人たちを抜かさせてもらってあわててチェックイン。

中に入るとまた「大阪行きの人?」と待っている人がいて、搭乗口まで一緒に走ってくれました。

席に着いたのはフライト10分前…。

帰りはさらに時間が長くなるので10時間ほどのフライトを終え、関空へ到着。

無事に荷物も受け取ることができ、ひとりSIGGRAPH初参加ツアーを終えました。

感想

映画やCMでも、eラーニングのコンテンツやWebデザインにしても、「人の心に訴えかけられるものを作りたい」というのは同じだと思います。

今回のSIGGRAPHでは、どのように表現すれば伝えられるのか、ものづくりをしている世界中の人々がいろんな工夫や新しい試みをしているということに改めて感動しました。国や人種が違っても、やはりみんな試行錯誤しながら生み出しているのだなと。そして「心が動く」ことに国境はないんだなということも、分かっていたようで新たな発見のようでもありました。

また、プレゼンテーターが生き生きと発表されていたことも印象的でした。世界の舞台に出てくる人たちだから、そもそも自信や度胸はあるのだと思いますが、きっとそのプロジェクトをやりぬいたからこそでてくる自信と清々しさというのもあるのではないかと、背景を想像したりしてしました。(全部が聞き取れないのでついそんな想像をふくらませいたというのもありますが…)

乗り継ぎでは苦労したりとばたばたな旅でしたが、いろんな刺激とたくさんの感動をもらった貴重な4日間でした。