ソーシャルラーニング事情SOCIAL LEARNING SITUATIONS

「ソーシャルラーニング」とはどのようなものなのか、「ソーシャルメディア」とはどのように関わるのかをご紹介いたします。

Mobile Learning Management Systems : a spectrum of choices.

(Blog:Float Mobile Learning 2011/09/16 Mobile Learning Management Systems : a spectrum of choices.からの要約)

[ 2012.12.25 update ]

コンピュータベースの学習管理システム(以降、LMSと表記)は1960年代に始まり、1990年代後半と2000年代初頭に本格的に飛躍しました。その後、教育とトレーニングのソフトウェアの世界での急速な変化によって、いくつかのLMSが古くさく思われ始めているのは、意外なことではありません。

モニタとモバイル端末のイラスト 多くのLMS企業は、市場が飽和状態に達し、自社の知的財産を販売するためには、新たな方策を模索しないといけないことを認識しています。

ちょうどおこったモバイル学習の革新によって、LMS企業は自社製品を販売するための新たな機会を得ることができましたが、その方策は企業によって大きく異なっています。

あるLMSの企業は、大した変革を行わないままに、ただ、自社製品に“モバイル”という言葉を追加しました。

別のあるLMS企業は、表面的な変更を行いました。つまり、小さな画面に収まるように彼らのインターフェースを再設計しました。

さらに、2,3の企業は、もう少し進歩して、実際にスマートフォンやタブレットで動作するモバイルLMSを持ち始めました。一部は非モバイルLMSに接続する必要がないスタンドアロンLMSを開発しました。

そして最後に、いくつかのLMS企業は、イノベーションの海に自分のつま先を入れ、何か新しいものを作成しようとしています。

モバイルLMSについて、5つのレベルに分類しました。

レベル0 - モバイル学習のために準備ができていないLMS
レベル1 - モバイルデバイス用にグラフィカルに再設計したLMS
レベル2 - 既存のLMSのためのモバイル拡張機能(“プラグイン”) - 機能拡張は、非モバイルLMSと連携して動作するのみ
レベル3 - スタンドアロン、自己完結型モバイルLMS
レベル4 - 固定あるいはクラウドコンピューティングなどのモバイル機器の新しいアフォーダンスのいくつかを使用した革新的なモバイルLMS

現在利用可能なモバイルLMSを上記のレベル1からレベル4に配置してみました。
(注:これはモバイルLMSのすべてのリストではなく、単なる一例です)

レベル1 LMS with a mobile friendly design Moodle, Sakai
レベル2 Mobile LMS plugins MLE-Moodle, MOMO, Blackboard Mobile
レベル3 Stand-alone mobile LMSs
with integration with a regular LMS
Pushcast, KMx, Cellcast
レベル4 Mobile LMS fully integrated with a learner through cloud computing mEKP, wearIT@work(formerly iTutor)

オープンソースのLMSのいくつかはモバイル・コンピューティングを想定して設計されています。

例えば、Moodleのインターフェースは3カラムのレイアウトで構成されており、モバイルに非常にフレンドリーです。 

もう一つのオープンソース、Sakaiは、モバイル対応にする機能を生み出すための開発者グループを持っています。しかし、これらのLMSはモバイル版と非モバイル版とで設計思想において大して違いはありません。

もう一つのアプローチは、既存のLMS(レベル2)のプラグインとして設計するか、または拡張機能として設計するかです。

Moodleは、MLE-MoodleとMOMO(Mobile Moodle) を含むいくつかのプラグインを持っています。

BlackboardはLearning 9.1プラットフォームにBlackboard Mobileを拡張しています。それによってユーザは、コースの更新、新しい割り当て、コースコンテンツ、学習グループの更新、コミュニティでの議論、およびそれらのグレード/評価結果の通知を受け取ることができます。

レベル3は、非モバイルLMSを参照しなくてもユーザのための学習教材を管理するスタンドアロンのモバイルLMSです。

例としては、BlackBerry Pushcast(旧Mobile Chalkboard)です。それはBlackBerryプラットフォーム上でのみ実行され、主に訓練を提供するために使用されています。

これは、テキスト、グラフィックス、ビデオ、オーディオを備えており、アンケートを行い、要望を受付け、電子メールを処理します。また、テストを管理し、その結果やコンテンツの使用状況を記録します。

同様に、「KMx from Knowledge Management Solutions」は、eラーニングコースウェア、ナレッジマネジメント、SCORM に完全に準拠したモバイルのためのコラボレーションツールの開発と配布を提供します。

このカテゴリの別の例として、「Cellcast from OnPoint Digital」が挙げられます。

このモバイル学習プログラムは、スマートフォン、タブレット、ネットブックコンピュータにおいて、多種多様なオーディオおよびビデオ学習コンテンツを作成、通知、配布、記録することができます。

また、モバイルWebコンテンツ、ウェブやPDFファイル、ビデオ、アニメーションやナレーション付きのスライドプレゼンテーション、話し言葉とテキストベースの評価の配信と記録が可能です。

Cellcastは完全に「OnPoint Digital」のLMSに統合されていますが、どのLMSをも参照することなく独立して操作することもできます。

残念ながら、レベル4に達しているモバイルLMSはありません。

しかし、モバイルLMSを変換する革新的な新しいソリューションの兆候があります。それは、デスクトップLMSの単なるに焼き直しではありません。

その一例として、「mEKP mobile learning management system from Net Dimensions」が挙げられます。それはUSBメモリスティックにフル機能のLMSを持つことができます。これで、学生は自分の作業を、オフラインで行うことができます。そして、インターネットに接続せずに記録を残します。彼らは単にUSBメモリスティックを持っていき、機会があり次第、インターネットに接続されたコンピュータに接続します。

自分の作業の結果は、完全なNet DimensionsのLMSにアップロードされます。このアプローチは、Net Dimensionsがモバイルラーニングの新たな定義に向けて動いていることを示しています。この新たな定義とは移動する学習者に関してのものであり、モバイル技術そのものについてではありません。

最後に、イタリアの「Giunti Labs」は、「eXact iTutor」と呼ばれる新しいウェアラブルLMSの実験をしてきました。これはGiuntiのウェブサイトに「世界初のウェアラブル、ワイヤレスモバイルラーニングのプラットフォーム」と記載されています。

それはロケーションベースで、重大な危機管理の指示や、ジャストインタイムのトレーニング教材が職場に配信され、音声や視線でコントロールが可能です。

残念なことに、このモバイルLMSはまだプロトタイプであり、完成していません。しかしながら、それは間違いなく、そのデザインはかつて実現できなかったモバイル学習のユニークないくつかの可能性を追求しており、正しい方向へ第一歩を踏み出したといえます。